2016年12月20日
「歯」
クリスマスですね!
沖縄の冬は快適です。それはまぁ、思っていたよりは寒いですけれど、年の瀬も近づく師走の末だというのに、縮こまらずに朝晩歩けるというのはそれだけで素晴らしいことです。沖縄に来て良かった!
「今年はどんな一年だったの」と尋ねられて、皆様は何と答えるでしょうか。学生の頃よく行っていたお店のマスターが、毎年暮れに尋ねるのが「貴女の今年一年を漢字一字に表すと?」でした。去年は「漂流の漂」と答えた気がしますし、その前は「傍観の観」だったと思います。今年は遂に福岡から離れ、カウンターの向こうからそう尋ねてくれる人はいなくなってしまいましたが、答えるとしたらまず間違いなく「歯」これで決まり! だと思います。もう2016年は「歯」以外思いつかない! というレベルです。
2016年1月30日、私は人生を賭けた一大勝負・第109回歯科医師国家試験に挑みました。
2016年3月17日、六年間の歯の学びに一区切り、九州歯科大学を卒業しました。
2016年3月18日、歯科医師国家試験に合格し、晴れて歯科医師になる権利を手に入れました。
2016年3月25日、多分この辺りで歯医者さんの手続きをしました。
2016年4月1日、アドベンチストメディカルセンターで歯科研修医になりました。
それからというもの、毎日毎日毎日、歯に向かい合い歯のことを考えて歯について学んでいます。
2016年11月1日歯科医師として初めて自分の担当患者さんを受け持ちました。
それから更に、毎日が歯を中心に回り、他人の歯のことで真剣に悩み真剣に喜ぶようになりました。気付いたら今年も残り十日ばかりです。やっぱり今年は「歯」でした。他の大学同期の子達も今頃「歯」って思いながら年末を過ごしているのかなぁ……
街灯りが年末年始の楽しい慌ただしさを帯び始めてから、何故か去年の今頃のことをよく思い出します。去年の今頃って、そう、歯科医師国家試験勉強に勤しんでいたあの頃です。このブログを見ている人の中に、国家試験を控える歯科大生がいないとも限りません。あるいは子供を歯医者にしようかと考えている親御様がいらっしゃらないとも限りません。私の歯科医師国試体験談を語りましょう。
歯科医師国試必勝法 1・目覚まし
私は国試勉強が全く苦になりませんでした。ちょっと変わった先輩から、「国試勉強してる頃が人生で一番QOL(※人生の質のこと)高かったわ〜」と聞いていて、人生で一番とは言えないまでも、成る程な、と納得していました。勉強が特別好きなわけではなかったのですが、国試勉強には楽しくなる仕掛けが沢山あったのです。
そんな私にもこの時期深刻な悩みがあって、それは「朝起きられない」でした。国家試験は朝9時か10時ぐらいに始まります。起床してから脳が目覚めるまで約3時間、つまり朝6時には起きていなければいけないのですが……。国試一カ月前にして私は全く早起きの練習ができず、朝活はおろか、班別のグループ学習の時間になっても班長なのに点呼も取らず布団の中、ひどい時は起きたら模擬試験のA問題の試験時間が終わっていたこともありました。勿論わざとではないんです。班員からLINEの嵐はくるし、私がいないなかグループ学習を進めてくれてる様子が流れてきて申し訳ないやら恥ずかしいやら。
受験生の皆さん、朝を制するものは国試を制するらしいです。というか、どんなに模試で良い点を取っていても、国試の朝を寝過ごしたらそこで終了です。そんな私を変えてくれたのが、この目覚まし!
枕の下に敷いておくと、枕ごと振動して起こされます。これで私は無事歯科医師になれました。歯科医師になりたいけど眠い 受験生、オススメです。
歯科医師国試必勝法 2・グループ学習
国試勉強が全く苦にならなかったのは、勉強班のおかげも大きいかもしれません。歯科医師国試は情報戦らしいです。九州歯科大学では、学年100人を10組程のグループに分け、勉強班という制度を作っています。各グループには成績の良い者から悪い者まで均等に配置され、引き上げるという効果を狙う他、モチベーションの向上や、他人の勉強ペースを知り自分の立ち位置を知ること、1日1〜2時間は皆で臨床問題を解いて考え方を一致させていく、という学習方法を取っていました。歯科医師国試において一人で勉強し続ける行為は危険と言われています。偏っていることに気づけなくなってしまうからです。また、特に臨床問題では「皆んなが選ばないような答えを選んでしまうような子は落ちる」からです。自分の間違いを指摘してくれるような環境で勉強することで、向上することができます。
……といいつつ、普通に楽しかった、という効果が一番ですけどね。チュートリアルルーム3号室でゴロをいくつも考えたのも懐かしい。あと、自分では気にもしていなかった点が友達の疑問として浮かぶと、自分が分かっていなかった点に気づく。そしてその何気ない会話が意外にも本番で出題されたりする。
何と言っても国試本番、臨床問題を解いているときに、班員達の声が間違い選択肢にツッコミを入れている声が聞こえてくる気がしました。幻聴です。「その処置はやりすぎじゃのう」……班員に広島県民がいたせいか、幻聴は広島弁と北九弁の混合でした。
効率が悪いなんて馬鹿にせず、是非やってみていただきたいです。本番で一番勇気をくれたのは良き友と学んだ時間でした。国試の思い出は友達と勉強した思い出。楽しすぎて、毎日笑いすぎて、国試までが思い出の中で美化されています。
(↓いつも勉強していた部屋のホワイトボード。今となっては一体何を伝えようとした絵なのか・・・義歯かなあ?)
(↓出陣前夜のホワイトボード。班の友達の落書き、嬉しかったなぁ。消さずに試験場へ出掛けましたごめんなさい)
歯科医師国試必勝法 3・飴玉
勉強をしていると、甘いものが食べたくなります。脳がよく働くにはブドウ糖だそうです。私はちっちゃい金太郎飴が好きでペンケースとタンブラーと飴のボトルをワンセットに勉強していました。……歯科医師にはなれましたが代償として虫歯が増えましたので、受験生諸君にはキシリトールのをお勧めします。
歯科医師国家試験の合格率は60数%、三人に一人は落ちてしまいます。自分と君、二人で一人を蹴落とせば歯医者になれる……なんて言ってよく励まし合っていましたが、よく考えたらそれって結構ハードル高いですよね。
来年後輩になるかもしれない新研修医さんも今頃勉強してるんだろうなぁ。九州歯科大学にも、AMC新研修医にも心からエールを送りたいと思います。
過ぎ去ってしまえば素敵な一冬の思い出なんです。こんな風に! 頑張れ受験生!
櫛田の2016年振り返りでした。
それでは良いお年を!
……2017年も2018年も「歯」だったら、ちょっと嫌だな……。
研修医 櫛田諒子
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